yukko's diary

アラサーの徒然草です

イミテーション ゲーム【毎月1本は映画を観るぞ】

 

毎月1本は映画を観るぞと宣言したアレです。1月分としてカウント。なお今月はラ・ラ・ランドカイジも観る予定です。ありがとうAmazon Prime

以下ネタバレを含む内容ですのでご注意ください。

そういえば主人公であるアラン・チューリングは来年からイギリスの50ポンド札の肖像画になるそうですね。そういう情報ばっかり頭に入ってくる。セ・リーグパ・リーグは永遠に覚えられないのに…。

 

【あらすじ】

舞台は20世紀、第二次世界大戦中のイギリス。ドイツ軍との戦いで劣勢を強いられている連合軍の急務は、敵の暗号「エニグマ」を解読することだった。天才数学者のアラン・チューリングは暗号解読のために集められた仲間と共に、エニグマ解読作戦に挑む。

 

【感想】

前宣伝と内容が思っていたのと違っていて驚ました。

終戦後の1951年を起点に、アラン・チューリングの回想という形で物語は進行していきますが、てっきりエニグマの解読に至る過程を全面に出した作品かと思いきや、アラン・チューリングのあれやこれやを中心とする作品でした。

アラン・チューリングの存在は知識として知っていたのですが、その詳細な人物像は知らず、アスペルガー症候群の疑いがあったことや、同性愛者であったこともこの作品で知りました。そのあたりの掘り下げは映画ならではといったところで非常によかったです。特にアラン・チューリングを演じたカンバーバッチの演技がめちゃめちゃ良かったです。人と話すときの目線の方向から手元の所在なさまで全ての言動が「少し変わっている人」のそれで鳥肌が立ちました。会話が成立しなくてもそれに気付かず、他人の気持ちを理解できない。シャーロック・ホームズのときもでしたけど、カンバーバッチはこういう演技が上手なのか、それとも…。

やや起伏の乏しいストーリーでしたが、元々の題材からしてあんまりパッキリと起承転結をつけるものでもないですし、新しい発見や研究というものは得てして地道な努力に基づくものであると私は思っているので、これはこれでとても良いと思いました。ふとしたきっかけから暗号解読の糸口を掴んだシーン等は一蓮の流れにスピード感があって良かったですね。でもチューリングが同僚との距離を縮めたシーンはもっと見たかった…。解雇されそうになるチューリングを同僚が庇うシーンで、感動よりも、お前たちいつの間にそんなに仲良くなって…という気持ちが先行してしました。

20世紀当時の女性差別や同性愛者差別についてもさらっと触れていたのも良かったです。あんまり深掘りしすぎても冗長になるだけなので、これくらいがちょうど良いですね。同性愛者についてかかれた作品といえば『ミルク』という映画が面白かったのでそちらも是非。

「誰も予想しなかった人物が、誰も想像しなかった偉業を成し遂げる」とは、作中に繰り返し登場する言葉ですが、それはあくまでも我々凡人からの見方にすぎないのでしょう。たとえばノーベル賞の隠れた要件として「長生きすること」(偉大な発見をしたとしても時代が追いついておらず、何年も経ってから評価されることが多々あるが、ノーベル賞は原則的に故人には贈られない(例外もありますが)ため)が挙げられているように、早すぎる発見等は凡人には適切に評価できないものです。死後評価される芸術家も多いですし、このあたりは天才と凡人の埋められない溝を感じますね。

チューリングは性的マイノリティーでもあり、天才でもあり、あらゆる面で孤独だったのだと感じました。ずいぶん早くに亡くなったんだなあと思っていたら、まさか自死だったとは。今は名誉が回復されたようでなによりです。

 

おわりだよ〜